Oct 062012
 

秋学期の松川研の目標である「建築設計プロセスを学ぶ」。
その第一弾として10月1日の研究会では構造家の満田衛資さんにお話をしていただきました。
授業は全7回行われるということですが、今回は初回ということで満田さんの経歴や作品紹介をしていただきました。

紹介していただいた作品は以下のようになっていました。

・マイコムVEST研究所
京都大学桂キャンパスに隣接する建物。モーターを制御する会社。
600mmという数字にこだわりそれを基準に柱にスパンやALCパネルの大きさを決めているのが特徴。
同じ過重でもそれをより均質にするためにスパンを調整するとおっしゃっていたが、部材の規格を統一もできるのでコストも安く抑えられるとのこと。

・王寺の家
木造。2ボリュームの一戸建ての建物。
建物の特徴としてはもともと畑だった場所に建物を建てたので敷地のレベルが道路面より低く
道路面と建物の高さをそろえるために建物を「浮かせた」といった手法が特徴的。
この建物を建てる上での課題としては南にある高層マンションからの視線の遮断。
中庭への通風、開放的な内部空間の確保といったものがあった。
お話によると地面に建物が全て接地していなくても合板壁→土台→アンカーボルト→基礎コンクリート→地盤と力が伝わる仕組みができていれば問題はないとのことだった。

・須波の家
アーチ状の建物
アーチ構造の上から発生した力を軸力で抵抗するという内容が中心だった。
アーチの端部をそろえると力学的に安定するが開放感がなくなるということで
開放感と構造的な強度の両立を実現した事例として紹介。

・カモ井加工紙第三撹拌工場資料館
古びたハエ取り紙を作っていた工場のリノベーションの事例。
材料搬入用の大穴が建物の1、2階の間に8個あったが、
そこに柱を新たに通すという手法を用いていた。
座屈の説明を交えながら話していただいた。

・中川政七商店新社屋
奈良県にある建物。6棟の分節的表現を構造的にどう対応させるかという内容。
表現的にも構造的にも6棟、表現的には6棟だが構造は1棟という草案もあったようだが、
メリット・デメリットを考慮した結果として両者の間とも言える「フィーレンディール組柱」
という手法を用いた事例だった。エキスパンション不要は不要で、
柱の断面、また梁をすべて幅の同じH鋼に統一することでコストも抑えている。

・えいせい掛川
静岡県にある介護老人保健施設。
ドーム屋根の形状を決定する根拠とは?というテーマで話していただいた。
デザイン的な根拠はなかったため力学的に最適な案を示したということで
その形ができるまでの過程を見せていただいた。

・盲目のクライマー・ライナスの散歩
生存のエシックス展にて展示された作品。
技術屋とデザイナーのそれぞれの領域の話など建物とは少し違った毛色の変わったお話をしていただいた。

・tomarigi
梅田阪急ビルの15階に設置されているベンチ状の家具の事例
床面に固定できない、搬入方法が一般のエレベーターのみという制約のもとに
どうやって倒れない椅子を作るかというお話を運動量保存則や力学的エネルギー保存則などの
高校物理でやるようなわかりやすい内容を取り上げつつ説明していただいた。

どれもわかりやすい説明をしていただき少しだけ構造というものを知るきっかけになったと思います。

・今後の研究会の基本方針
「プログラミングの中に構造解析プログラミングを加える」
モデル(部材商法とその協会条件)化+科中条件を入力すれば
応答(変異や発生する応力)が求まる。

【参考資料】
・浅野清昭(著)ー「図説やさしい構造設計」2006 学芸出版
・浅野清昭(著)ー「図説やさしい構造力学」2003 学芸出版